はじめに
2026年2月26日、「AIコーディング現状確認会 2026福岡」で登壇しました。
AIコーディング現状確認会 2026福岡 – connpass
タイトルは「やめとこがなくなった — 1月にZennを始めて22本書いた AI共創開発のリアル」。AIとの共創開発で2ヶ月弱に12個以上のツールを作った話をしています。
発表では「zellij-send-keysの公式マージ」「glowmのHomebrew配布」の2事例を中心に、人間とAIの役割分担について話しました。ただ、5分のLTでは話しきれなかったエピソードがいくつかあります。
この記事では、スライドに入らなかった3つの話を補足します。
1. Claude Code自身にバグをデバッグさせてIssue報告した話
発表では「コードを書いていないのにOSSコントリビューターです」と話しました。zellij-send-keysのプラグイン開発がその代表例ですが、もう1つ別の形の貢献があります。
Claude Codeの /insights コマンドがクラッシュするバグに遭遇しました。原因がわからなかったので、Claude Codeに「このエラーを解消して」と伝えました。自分がやったのはそれだけです。
Claude Codeはセッションファイルの調査から始めて、最終的に自分自身のバイナリをデコンパイルし、クラッシュ箇所を特定しました。APIエラーレスポンスがバリデーションなしにキャッシュされていたのが根本原因でした。
その調査結果をGitHub Issueに投稿したところ、別のユーザーが検証して「ワークアラウンドが動いた」と報告してくれました。その後Anthropicのエンジニアが修正をリリースしています。
投稿したコメント – GitHub Issue #23138
コードを1行も読まず、バグ修正にも貢献できる。これも共創の1つの形だと考えています。
詳細はこちらの記事に書いています。
Claude Code 自身にバグをデバッグさせて GitHub Issue に報告した話 – Zenn
2. Chrome拡張の公開を審査まで全自動化した話
発表ではChrome拡張を4つ作った話に軽く触れましたが、作った後の運用の話は時間切れでした。
Chrome拡張のリリース作業は地味に手間がかかります。zipを作って、Developer Dashboardを開いて、アップロードして、公開ボタンを押す。1つなら数分ですが、4つの拡張を管理していると繰り返しが面倒になります。
release-pleaseとGitHub Actionsを組み合わせて、この手順を自動化しました。Conventional Commitsでコミットするだけで、Release PRの作成からChrome Web Storeへの公開まで走ります。auto-mergeも設定しているので、mainにマージした後は何もしなくて済みます。
# これだけでリリースから公開まで走る
git commit -m "fix: ○○の不具合を修正"
git push origin main
設定手順やハマった罠はこちらにまとめています。GITHUB_TOKENの制約やmanifest.jsonのバージョン不一致など、落とし穴が多いです。
Chrome拡張の手動アップロードをやめた — release-please + GitHub Actionsで公開を完全自動化 – Zenn
3. Homebrew tapのバージョンアップも自動化した話
glowmやgh-attachなどのCLIツールは brew install で配布しています。この配布の自動化も発表では省略していました。
GoReleaserを使って、タグをpushするだけでバイナリのビルド、GitHub Releaseの作成、Homebrew Formulaの更新が自動で走る仕組みにしています。
# タグを打つだけでHomebrew tapまで更新される
git tag v1.2.0
git push origin v1.2.0
ユーザー側は brew upgrade するだけで最新版が入ります。
brew upgrade atani/tap/glowm
Homebrew tapの作り方からGoReleaserでの自動化までの手順はこちらです。
自作CLIツールをbrew installで配布する方法【GoReleaser自動化付き】 – Zenn
おわりに
発表では「人間が方向を決めてAIが実装する」共創の話をしました。ただ、作って終わりではなく、その先のリリース自動化やバグ報告といった運用面でもAIとの共創は続いています。
Chrome拡張の公開自動化も、Homebrew tapの更新自動化も、Claude Codeのバグ調査も、自分がやったのは「方向を決めて伝える」ことだけです。発表の主題と同じ構造がここにもあります。
スライドで紹介した12個以上のツールは、すべてZennに記事を書いています。

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